第24話「バイロンベイ」

 

バイロンベイ。それはオーストラリア最東端の街だ。この辺りにはヒッピーのコミューンが数多くあり、一種独特な雰囲気をかもし出している。オンシーズンの12〜2月頃には、野外のフェスティバルやパーティーが多数行われている。サーフィンのポイントも色々有るので、サーファーの多い街でもある。僕もこの地に来る途中にサーファーズパラダイスという場所に立ち寄りサーフボードを購入した。サーフィンも日課の一つになっていた。イルカと一緒に波に乗る事も多々あった。そしてこの場所に来た最大の理由は、ディジュリドゥプレーヤーがたくさん集まってきている場所であるということだ。アボリジニのプレーヤーは殆どいないが、コンテンポラリーなプレーヤーには多数出会える場所だ。わずか一ヶ月の滞在だったが、毎晩誰かと月明かりの下、セッションをしていた。夜ビーチに寝転んで、星を眺めると地球の自転というものをすごく感じた。そういう自然伝承的な物には無頓着だと思っていた僕だったが、あんなにこの星が丸くて、回転しているんだという事を実感した事はなかった。

そこからさらにシドニー、ボンダイビーチまで南下して旅を続けた。ここでは毎日とにかく吹きまくった。観光客が多いので、バスキングでの稼ぎもうなぎ上りで、他の場所での稼ぎと比べるとかなり良かった。この場所で初めてスーツを着てバリバリ仕事をするアボリジニの人を見た。ダーウィンやアーネムランドでの経験があるので正直違和感があった。しかし、そんな都会のアボリジニ達も、町中でディジュリドゥを吹いている謎のアジア人の僕を見かけると気になるようで、一回通り過ぎては、又戻って来て通り過ぎ際にちらちら見て行くのだった。話し掛けると、やはりどことなく照れ屋で優しい感じで、本質的には同じだった。新しい土地へ行くと、取りあえずその街の中心地でバスキングをするのが、自分流の挨拶のようになってきていた。するとディジュリドゥが探知機のような役目をして、同じ価値観を持つ人間を嗅ぎ分け呼び集めて来るのだった。行く先々で、友達を作るのに大きな役割を果たしてくれたのもディジュリドゥだった。ディジュリドゥの事を、そして自分の事を信じれば信じる程、色んな繋がりを生んでいった。ボンダイビーチは僕の中でもかなりお気に入りの場所になった。海があって、サーフィンができて、マーケットがあって、そしてミュージシャンも多い。かなりオープンな好印象を持った場所だ。

 

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