第13話「里帰り」

 

年末が近づいて来るにつれ、ヨルング達も続々と彼等の国アーネムランドへと帰っていった。バランダ暦の年末から年始にかけていろいろなセレモニーがあるらしかった。このみんなの里帰りも、僕にとっては一騒動だった。いろいろお世話になったお礼に、帰る前にパーティーでもしようと思い、誰がいつ国へ帰るのか情報を集めてみた。「ジョニーはいつ帰るの?」とまず一人に聞いてみる。「明日の3時頃だよ。」しかしもう一人は3日後だと言う。さらにもう一人はもう帰ったと言うではないか。異常な数の情報が、飛び交っていて訳の解らない状態だった。こうしてこの計画はすぐに断念せざるをえなかった。そんな中、一人又一人と人数が減ってきた。たまに急に人数が増えたりする事もあったが・・・

ある日、ミニヤッパがアーネムランドへ帰ると言う事を聞いた。「一週間後だ」と言う。ということは大体二週間後ぐらいかなと推測してみた。案の定、一週間後、ヤシの木に登り、ココナッツを落としているミニヤッパを発見。一緒にココナッツを食べ、のんびりした時間を過ごす。国へ帰るような素振りは何一つなかった。その一週間後、本人からアーネムランドへ帰る事を聞く。そして、もし来たいのであれば、一緒に来てもいいよと言うのだった。アーネムランドという場所は、同じオーストラリア大陸内にありながらにして、アボリジニのアボリジニによる管理統轄が行なわれている区域で、一般的には立ち入り禁止となっている場所なのである。政府から何らかの許可証がないと立ち入る事の出来ない神聖な場所なのだ。その時の僕はというと、考える間もなくして「ヨォ!(YES, はい)」と答えており、頭は上下にウンウンとうなずいていた。正直この時は嬉しさ反面、不安もあった。なるようにしかならへんねん。俺にはディジュリドゥがあるさ。そんな感じだった。

 

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